宮城谷 昌光氏の歴史小説の中でも個人的に3つの指に入る面白さを感じているのが「太公望」です。

「太公望」上・中・下巻。気になるところに付箋貼ったりしていますが、付箋が無くなってもきにしませんので安心して読んでください。

「太公望」上・中・下巻。気になるところに付箋貼ったりしていますが、付箋が無くなってもきにしませんので安心して読んでください。

歴史小説の楽しみというのは大きく3つのパターンがあると思っています。

私は歴史小説が好きですが、その楽しみ方は大きく3つのパターンがあるように感じています。

1.長編小説として純粋に楽しむ

ほとんどの歴史小説において主人公は大業を成し遂げた人であり、その痛快さや展開を冒険活劇として楽しむのがこのパターン

2.登場人物を通して生き方、考え方を学ぶ

歴史小説に登場する登場人物にはさまざまな生き方、考え方があります。歴史小説も小説である以上フィクションなのですが、人物自体は存在していたので、ノンフィクションのように感じることができ、そのことが過去の偉人の考え方や生き方をうまく自分に取り入れることができるように思います。会社の上司が「竜馬がゆく」を読めというのはこのパターンですね。

3.歴史そのものを楽しむ、歴史解釈を楽しむ。

史実としての歴史を楽しむのは小説を楽しむのとはまた違います。知らなかった事実を知るというのは楽しみの一つです。また、著者によって歴史解釈は異なってきますので、その点を楽しむというのも一つですね。

太公望は「長編小説として楽しむ」本

いきなり、本題とは違うことを書きましたが、何が言いたいかといえば、太公望は「1.長編小説として純粋に楽しむ」本としては、宮城谷昌光氏の著書の中では一番だと感じています。

これには、太公望という人が名前は知られていても、実態はあまりわからないということがあり、その内容のほとんどが著者に委ねられているせいかもしれません。宮城谷昌光氏の太公望はそれでも歴史小説ですが、太公望を題材にしている「封神演義」や横山光輝氏の「殷周伝説」などは妖術などを使う登場人物が多く、歴史をなぞってはいても、事実ではないとわかる内容です。

かといって、宮城谷昌光氏の太公望の主人公である「望」も、宮城谷昌光氏の他の小説の主人公や登場人物にと比較すると人智を超えた人物ではありますが。。。

古代中国のことや今の言葉の意味を学べる点も多い

といっても、この太公望においても、古代中国のことや今の言葉の元の意味などを知識として得ることもでき、その点でも楽しめます。

特に宮城谷昌光氏は、言葉を大事にされる作家ですので、その点は非常に勉強になります。太公望の時代は商から周に変わる時代なわけですが、商がメインの時代となる小説はこの太公望しかありませんので、その点からも貴重な一冊と言えます。

例えば、私たちは、何月上旬や下旬といいますが、この上旬とは何から来ているのかは知らないのではないでしょうか?商という国では、太陽が十個あると考え、それを甲、乙、丙、丁とかぞえて癸でしめくくられていました。一か月が30日とすると、この十個の太陽が3巡します。この1巡を旬と呼び、一か月を上旬、中旬、下旬と区切ったわけです。

このように現在私たちが知っている言葉の語源がはるか古代中国にあるということを知っていくというのはそのこと自体が楽しめます。

歴史小説はちょっと・・・という人も楽しめる一冊

太公望は歴史小説はちょっと・・・という人も楽しめる一冊です。また、この太公望の時代の話が、古代中国の春秋戦国時代の人々にとって、ある種の規範であったりや先例とすべき故事となります。そういう意味でもオススメの一冊です。